プレバト!!の『俳句才能査定ランキング』で史上2人目の永世名人に昇格した東国原英夫さん。
永世名人決定時点での掲載に値する句は、27句。あと23句から俳句集作成にむけて、50句の掲載句への判定がはじまっています。
掲載決定を着実に積み重ねている東国原さん。梅沢永世名人に並ぶ日も近い!?
プレバト歴代俳句の天の句(ベスト1)にも選ばれています。
東国原さんの詠む俳句は、時事ネタや不思議な空気感。
東国原さんの句集完成がとても楽しみですね。
この記事では、東国原さんの2019年4月からのプレバト俳句を、鑑賞して応援します!
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東国原英夫さんの最近の俳句一覧
羽蟻わく今宵ロマンス詐欺メール
炎帝戦第4位
お題「メール」
羽蟻わく今宵ロマンス詐欺メール
はありわく こよいろまんすさぎめーる
添削なし
「羽蟻」というのは繁殖期になって羽根が生えたシロアリ。
いかがわしい出会い系のメールが画面上に湧いてくるのが、寂しい人たちの隙間に付け込むようで、それを家を侵食する羽蟻にかけたという東さん。
夏井先生は、おもいきった挑戦だと評価、「わく今宵」という押さえもうまい、面白いと大絶賛でした。
帰省してゐる 周遊のついでかな
お題「クーポン」
帰省してゐる 周遊のついでかな
きせいしている しゅうゆうのついでかな
添削なし
学生時代、帰省に興味がなかった東さんは、本当は「鹿児島や沖縄に行きたい」と思いながら、周遊券を買ってついでに帰省している。それを後ろめたく思っているのを詠んだ句。
夏井先生は、「かな」という詠嘆を作者の表現意図として許容すると解説し、この句もみごと掲載決定となりました。
縦列駐車こつん春の月くすっ
お題「満車の駐車場」
縦列駐車こつん春の月くすっ
じゅうれつちゅうしゃ こつん はるのつき くすっ
添削なし
縦列駐車で何度もハンドルを切り返して車をいれたら、最後に「こつっ」と当たってしまった。
それを見ていた月が「くすっ」と笑ったような気になったというのを詠んだ一句。
夏井先生はこんな可愛い句が作れるのか、と東さんに驚き、「こつん」が自分にだけ伝わる、動詞を使わずに表現している工夫を大絶賛。
月が笑った擬人化も嫌味がなく称賛され、見事掲載決定となりました。
カンガルー泊めて2DK朧
春光戦決勝第10位
お題「ハプニング」
カンガルー泊めて2DK朧
かんがるーとめて にでぃーけーおぼろ
添削後:
カンガルー預かってゐる朧かな
ハプニングから、昔収録した番組でカンガルーとボクシング対戦した後のことを詠んだ句。
夜中までの収録で動物プロの方が返ってしまったため、カンガルーを自分の部屋に連れて帰り、寝不足と疲れでの朦朧とした様子と春の「朧」を取り合わせたという東国原さん。
夏井先生は、朧の句として絶賛しながらもあえてぼんやりとさせるべきと添削されました。
自動精算機なかでやにわに春祭
お題「セルフレジ」
自動精算機なかでやにわに春祭
じどうせいさんき なかでやにわにはるまつり
添削後:
自動精算機 やにわに春吐く
「春祭」が季語。
慣れない自動精算機の表示や音声案内がにぎやかで、まるで機械の内部に祭りがあるようだというのを詠んだ句。
夏井先生は「やにわに」という表現を褒めながらも、説明になる「中で」と「春祭」のようだという比喩を指摘。
最後に釣り銭が出る様子を使って添削されました。
蝶は測る フードコートの奥行を
お題「フードコート」
蝶は測る フードコートの奥行を
ちょうははかる ふーどこーとのおくゆきを
添削なし
蝶がフードコートに入ってくると飛んでいるその様子がまるでフードコートを測っているようだとそのまま詠んだという東国原さん。
フードコートに迷い込んできた蝶をこんな風に感じ取れることが本当に素敵、と夏井先生。
蝶「は」の「は」がとても大切。蝶を強調し焦点をあてる大事な字余り。
「奥行を」の「を」の助詞で余韻がある。
このような句を詠ませてもらうと私の血が綺麗になるような気がするとと夏井先生。長生きできそうな気がすると大絶賛でした。
インターホンに春光の顔半分
お題「宅配便」
インターホンに春光の顔半分
いんたーほんにしゅんこうのかおはんぶん
添削後:
顔半分占め 春光のインタホン
季語「春の光」という季語のもともとの意味は、春の風景とか春らしい光景を表す。
春の光だと思って俳句を作る人が増えてきて歳時記にも「春の光」としても使う、と解説が載るようになった。
もともとの意味で永世名人らしくやっていただけると。という夏井先生。
東国原さんが思い描いている光景になるように添削されました。
片襷硬し 四日の身を通す
冬麗戦 第1位
お題「人生ゲーム」
片襷硬し 四日の身を通す
かたたすきかたし よっかのみをとおす
添削なし
選挙に出るというのは人生をかけた勝負だという東国原さん。
一月四日に選挙戦に出た時、片襷がビニール製で硬い。その感動、緊張、ないまぜになったものを句にしました、と東国原さん。
緊張感が伝わるというのはすごいと夏井先生。
この句は、3パターンの片襷を思ったそうです。
・まな板初め、弓初めの片襷き
・選挙の片襷
・駅伝の片襷⇒これは2日ではないからはずせる。
晴の行事と俗な行事、一句の中に2つあるというのも奥行きがある。
身を通す、は映像でありながら心情の表現にもなっていて、緊張感と硬さが響きあう。
言葉の質量を計算したうえで、それぞれの言葉が選び取られているということになる。
夏井先生の大絶賛でした。
この人が父ちゃん 銀幕に雪烈し
お題「映画館」
この人が父ちゃん 銀幕に雪烈し
このひとがとうちゃん ぎんまくにゆきはげし
添削後:
父となる人と雪夜の映画館
東国原さんが小学2年の時、お母さんが再婚。
新しいお父さんと待ち合わせして初めて会ったのは、映画館。
網走番外地の映画を見たき、この人が新しいお父さんだという、寂しいやら期待感やら嬉しいやら悲しいやらの複雑な気持ちを、その雪が自分の気持ちだったというのを詠んだ句、だそうです。
夏井先生は、お話をきいたらそのお話は素晴らしい俳句のタネだと、劇的添削がなされました。
林檎のうさぎ 雲梯を二段飛ばし
お題「弁当の店頭販売」
林檎のうさぎ 雲梯を二段飛ばし
りんごのうさぎ うんていをにだんとばし
添削なし
小学校の時、友達の女の子の弁当に入った林檎のウサギの飾り切りを始めてみたとき、興奮してテンションがあがり、校庭の雲梯を初めて二段飛ばしできた、というのを思い出して詠んだ句だそうです。
夏井先生からは展開がうまい!と大絶賛。
この句も句集に掲載決定となり、5句連続の掲載決定を決めました。
「林檎のうさぎ」という入り方がよい。「うさぎ」が季語になっているが比喩なので問題ない。
お弁当から雲梯に行くのは無理のない展開。うさぎから雲梯にいくのはイメージをつないでくれる、と解説されました。
携帯をタコ足充電 夜学校
金秋戦決勝7位
お題「バッテリー切れ間近」
携帯をタコ足充電 夜学校
添削後:
タコ足充電 夜学の携帯とりどり
夜学に通っていた経験のある東国原さんが、仕事終わりに集まってきたいろいろな生徒さんがいる教室の、タコ足充電されている携帯を詠んだ句です。
中八の「タコ足充電」を上五の字余りにしておくことで、最後の視点を「夜学校」と広げずに、携帯をクローズアップする句として添削されました。
ラフレシアも 秋夕焼も 人を食うか
お題「秋の夕日」
ラフレシアも 秋夕焼も 人を食うか
らふれしあも あきゆやけも ひとをくうか
添削なし
世界最大の花、人食い花ともいわれるラフレシアと、風景や人を吸い込んでしまうような恐怖感があったという秋夕焼を取り合わせたという句。
夏井先生は、よく兼題写真の秋の夕日からラフレシアを思いついたと驚いていました。
666の音の調べも、ゆっくりと押し寄せてくるようなリズムで恐怖感を生んでいると、見事に掲載決定となりました。
秋暑し 柱は饐えた父の臭い
お題「実家の柱」
秋暑し 柱は饐えた父の臭い
あきあつし はしらはすえたちちのにおい
添削なし
実家の30年40年経った柱の臭いは酸っぱい臭いがする。加齢臭のようなちょっと腐ったような臭いが夏の暑さを超えると臭いが際立つ。
親父の労働の後の臭いに似ていて一家を支えてきた父と柱の臭いをシンクロして饐えた臭いと表現した、と東国原さん。
時候の季語を主役に立てているところが夏井先生から特に評価され、句集に掲載が決定しました。
実家とは書いていないが実家の柱だと否応なくわかる。「饐えた」という強烈な言い方をしているが、それが老いていく父の臭いとイコールであるよという実感が生々しい。
比喩でなく断定するところが詩を発生させる。
「秋暑し」という映像を持たない季語を主役に押し上げている点が、さすが永世名人と大絶賛でした。
音なき音や 八月の遠花火
お題「打ち揚げ花火」
音なき音や 八月の遠花火
おとなきおとや はちがつのとおはなび
添削なし
音なき音というのは、遠花火で音がない、音がない分、よけいに聞こえるのだ、と東国原さん。
八月は終戦や原爆、お盆で御霊が帰ってくる。遠花火が御霊になって自分に語り掛けてくれるのではないかという句なのだそうです。
夏井先生は、「八月」という季語をよく理解しているという高評価でした。
八月という季語は、複雑なイメージを持っているとのこと。
音なき音や、と詠嘆したいのは、八月の亡くなった人の「声・叫び・魂の動き・寄ってくる音」をあえて詠嘆したのに違いないと読むことは可能だと、夏井先生。
この句も句集に掲載決定。東国原さん、おめでとうございます。
Tシャツの干され 西日の消防署
炎帝戦 第2位
お題「Tシャツ」
Tシャツの干され 西日の消防署
てぃーしゃつのほされ にしびのしょうぼうしょ
添削なし
季語は「西日」。
消防署の2階にTシャツが干されていた。消防署の職員のTシャツなのだろう、少し汚れていて1日の激務が感じられ、ご苦労様と賞賛するような西日が照らしている、という句。
本当にいい句だと思う、と夏井先生。
前半の「Tシャツの干され」は、鉄板の類想のフレーズ。
この句ではそれを共感という土台に据えている、わかってやっている。家庭の日常かと思うと、消防署の過酷な労働の現場だとわかり感動がストレートに伝わってくる。
さらに西日が照りはっている映像が、季語を主役として押し出すこともやっている、完璧ですと夏井先生、大絶賛でした。
玉葱や この人結局 死んじゃうの
お題「夏野菜カレー」
玉葱や この人結局 死んじゃうの
たまねぎや このひとけっきょく しんじゃうの
添削なし
妻がカレーを作ろうとしていて玉葱を切っているとき、サスペンスドラマを観ていた僕に、この人死んじゃうの?と聞いた。
人間って死んでしまうのだとドキッとし、玉葱が魂のようにみえてきた。という句だそうです。
夏井先生から、日常からドラマを掴みだす力技だと絶賛され、掲載決定となったこの句。
夏野菜カレーの写真から、玉葱だけに焦点を絞るのがさすが。さらに、玉葱に詠嘆し、中七下五でワンフレーズを取り合わせる型。
この人死んじゃうの?と問いかけられた人間が、ドキッとする。妻の手には凶器にもなる包丁が握られている。しかも、悲しくもない涙を流し始める、というのを玉葱が主張している。
それが読み取れると俳句はますます面白い、と大絶賛でした。
東国原さんは句集発行まで残り22句です。
ユンボの一撃 花冷えのごみ屋敷
お題「分別タイプのゴミ箱」
ユンボの一撃 花冷えのごみ屋敷
ゆんぼのいちげき はなびえのごみやしき
添削なし
ごみ屋敷があって、悪臭や景観の問題で役所によって取り壊しになった。解体されるのが寂しかったのを花冷えと表現した、という句だそうです。
この句の査定の結果は、「1つ前進」
東国原さんは、史上2人めの永世名人に昇格しました。
おめでとうございます!
夏井先生の評価のポイントは、季語「花冷え」の選択とその位置の是非でした。
夏井先生は、非常の面白い作品。
非常にユンボの一撃という激しい動きから、「花冷え」という季語に来ると、桜の季語?と読み手の脳は先走る?となる。
その後でごみ屋敷という一撃の対象が出てくる。
美しいものと汚いもの。激しいものと静かなものの対比も縦糸横糸張り巡らせているし、「堂々とした一句」だそうです。
山も笑う 「最初はグー」の発明者
春光戦決勝 第7位
お題「じゃんけん」
(志村けんさん一周忌)
山も笑う 「最初はグー」の発明者
やまもわらう さいしょはぐーのはつめいしゃ
添削後:
山も笑う 最初の最初の「最初はグー」
前書きをつけて詠んだ句。
季語「山笑う」に「も」を加えて工夫した句。
志村さんと「笑う」が近いと思ったので、天国で志村さんが笑っているのではないかと思って詠んだ句だそうです。
夏井先生は、じゃんけんからここにくるか、という納得があった。
考えないといけないのは2つ。
追悼句であるという前提があるので、いろいろな思いを「も」に託しているのが理解できる。作者の意図として尊重すべき。
「発明者」に説明臭が残ってしまうと示された夏井先生の添削に、スタジオ全員がうなる句になりました。
テレビテレビテレビ菫菫菫
お題「家電量販店」
テレビテレビテレビ菫菫菫
てれびてれびてれび すみれすみれすみれ
添削後:添削はご自分で!
家電量販店に行って俳句を考えていた時、テレビ売り場でテレビが並び、全部のテレビに菫が映っているのをそのまま詠んだのだそうです。
夏井先生はわからないではないが、その状況が言葉を重ねるだけで言えているか、添削は自分で、と「現状維持」の評価でした。
買い食いを叱られて来し 末黒野よ
春光戦Cブロック第1位
お題「きのこの山」と「たけのこの里」
買い食いを叱られて来し 末黒野よ
かいぐいをしかられてきし すぐろのよ
添削なし
「末黒野(すぐろの)」とは春の季語で、枯れ草を焼いて黒くなった野原のこと。
子どもの頃、チョコレートを買い食いをして内緒で食べて親にばれ叱られて、家を飛び出してウロウロ。気づいたら眼前に野焼きをしている焼け野があった。
すす、炎、焼け跡の匂い、黒く暗がりになってこわいし反省もあるし、いろいろな気持ちがないまぜになったのを「末黒野」という季語に託したと東国原さん。
夏井先生は、子どもが買い食いをして叱られる句はたくさんある。
「末黒野」という季語に着地した途端、焼き野の跡に行くと、非日常の中に自分がぶち込まれたような不思議な気持ちになる。
後悔やせつなさ、悲しみなどが一気に季語によって噴き出してくる、といいます。
無影灯 下腹に冷たい何か
お題「輪ゴム」
無影灯 下腹に冷たい何か
むえいとう したばらにつめたいなにか
添削なし
輪ゴムの写真が、無影灯という手術用のライトに見えた。下腹に、感じないはずなのに、メスなのか執刀なのか何か感じた。ヒヤッとして恐怖感を感じたのを思い出した、という東国原さん。
「これは東さんの句じゃないかな、と思った」という夏井先生。
「無影灯」という言葉で手術室だなとわかる経済効率は悪くない。「下腹」と部位を持ってくる、「冷たい何か」と畳みかける。急に恐ろしくなったのかもしれないと読み手にわかる。
ただ、「冷たい」は季語ではないだろう、という人もいるはず。それを季語として読むか、読まないかは読者に託すしても良い、と夏井先生。
この句は直すとバランスが崩れるので、東さんのバランスで味わうしかない、と添削はありませんでした。
ほしかもんはなか ジャングルジム冷たし
お題「プレゼント」
ほしかもんはなか ジャングルジム冷たし
ほしかもんはなか じゃんぐるじむつめたし
添削なし
「プレゼントは何が欲しい?」と親にいわれ、親が裕福ではなかったので強がってやせがまん、ジャングルジムに上った時に鉄の冷たさが心に染みたという句。
ジャングルジムを選んだ是非が評価のポイントだという夏井先生。
査定の結果は「☆1つ前進!」
寂しさと相性がいいという評価。
兼題写真から、「ほしいものがない」という方向に発想に持ってくることができるというところが、この作家の力だと改めて思ったという夏井先生。
遊具はたくさんあるが、ジャングルジムは高いところにじっとしていられるということ。寂しさ孤独と相性がいい。
「冷たし」の季語は、冬の風の冷たさ、金属の冷たさが皮膚で生々しく伝える、なおしなしで見事1つ前進。
また、記憶に残る東国原さんの一句に出会えました!
ポイントでもらひし蛍 なほいきる
お題「ポイントカード」
ポイントでもらひし蛍 なほいきる
ぽいんとで もらいしほたる なほいきる
添削後:
ポイントでもらつた蛍 なほいきる
ポイントで蛍がもらえた。疑似貨幣で生き物と交換するのは抵抗があったが、意外と長く、光らなくなってもまだ生きていた。小さい生命力に感動したという句。
上五の「で」がどうかなと思っていたという東国原さん。
この発想もとても良い、とても好きな句と夏井先生。
ご本人もわかっているように「で」を外すのは難しいと夏井先生。
その説明臭さを薄める一手がある。文語だと説明くさく感じるので、口語にすると奥行きがある句になるとのことでした。
2020年5月の俳句
お題「100円玉」
百円玉と ヤモリがオレの守り神
ひゃくえんだまと やもりがおれのまもりがみ
添削なし
師匠の弟子をしていた時、1日100円ということがよくあった。家にはヤモリが出ていて100円とヤモリが自分の明日の守り神だと強く思った、という句。
カタカナであえて書いた「ヤモリ」が評価のポイントかな、と自身で分析。
夏井先生の評価はまさに「ヤモリ」と「オレ」のカタカナ表記の是非がポイントでした。
夏井先生は、意図が生かされた表記だと査定。
季語、特に植物、生き物の季語はカタカナでは書かないのが定石だが、この句はそこを狙っているというのがわかる。
「守宮」と書くやもりは守ってくれそうだが、「ヤモリ」はそれがなく、「オレ」も軽くて若くて根拠のない自信をもった若者とわかる。
心が行き届いた一句だと高い評価でした。
2020年4月の俳句
お題「不動産屋さん」
まるでシンバル 移り来し街 余寒
まるでしんばる うつりきしまち よかん
添削なし
18歳から宮崎から東京にきた。その時に感じた東京を「まるでシンバル」と表現。平板で、冷たくて、賑やかしい、騒がしいというのを破調にして不安感を出したと東国原さん。
季語は「余寒」冬があけてもまだまだ寒い様子のこと。
夏井先生は、本当に見事な一句。
俳句では「比喩は手練れになってから」と教わる。
「移り来し」で引っ越してきた街がまるでシンバルみたいだ。音の響きが不安感を掻き立てる。あと3音で「余寒」を投げ込み、もう一度シンバルがなるかのような感じ。
「ここまで作れたら気持ちいいだろうなぁ」と思う、さすがだなと思いました!と大絶賛。
6回目のタイトル戦制覇した春光戦の優勝句です。
東国原さん、おめでとうございます!!
2020年1月の俳句
お題「お鍋」
湯豆腐の湯気 アインシュタインの舌
ゆどうふのゆげ あいんしゅたいんのした
無関係な二つの言葉を取り合わせることで、独自の世界を表現できているところがポイントの、東国原さんの俳句。
夏井先生は、シンプルな食べ物、湯豆腐という季語と、物理、宇宙の世界を連想させる深い言葉の取り合わせを高く評価としました。
2019年10月の俳句
お題「秋の物産展」
竜淵に潜む被災地物産展
りゅうふちにひそむ ひさいち ぶっさんてん
東北の被災地の物産展が全国で盛況だったことを詠んだ句だと、東国原さん。
「竜淵に潜む」は秋分の頃の時候の季語で、縁起のいい言葉なのだそうです。
竜が淵に沈んで行くと秋がくる一方で、「竜天に登る」は春の時候の季語で、この季語の対になっていると夏井先生が解説してくれました。
お題「歩行者信号」
信号の点滅は 稲妻への合図
しんごうのてんめつは いなずまへのあいず
添削例(作者の意図でどちらを選んでも良い):
信号は点滅 稲妻への合図
東国原さんはポンチ君(村上さんのこと)の確立した型の逆をいかないと勝てないと思い、この句を作ったとコメント。
夏井先生は、信号の点滅と稲妻は全く関係ないが、そこを関係づけることで詩が発生する。
こういう感覚の作品が出てくるようになった、プレバトのレベルがここまで来たか、と感動していました。
金秋戦での優勝句です。東国原さんおめでとうございます。
2019年9月の俳句
お題「道後温泉」高校生との他流試合
子規に似た 蝗がおった 食うたった
しきににた いなごがおった くうたった
俳句甲子園優勝校との他流試合で、東国原さんが詠んだ句。
東国原さんの句は、リズムも発想も面白く、飄々としていて俳句として愛されやすい句だったという夏井先生
昨年の俳句甲子園に引き続き、正岡子規が登場する句でとても印象的です。
2019年8月の俳句
お題「お盆のサービスエリア」
墓参り後ろに誰かゐるやうな
はかまいり うしろにだれか いるような
添削後:
たれかゐるけはひ墓参りのうしろ
東国原さんの一種独特な、俳句にゾクッとする怖い要素を詠み込む技の俳句です。
夏井先生の添削でもっと怖い句になりました。
お題「猛暑日」
立ち漕ぎの警官真顔炎天下
たちこぎの けいかんまがお えんてんか
添削後:
立ち漕ぎの全力炎天の警官
お巡りさんが炎天下、事件現場に向かって全力で自転車をこいでいく様子が目に浮かびます。
夏井先生の添削で最後に立ちこぎの警官の後ろ姿が見える句になりました。
2019年7月の俳句
お題「夏の波紋」
飛び込みの波紋広がりゆく木陰
とびこみの はもんひろがりゆく こかげ
プールの飛び込みの波紋がゆっくりと木陰に広がってゆく光景、緑の光まで見えると夏井先生に評価された句です。
「ゆく」を「くる」にかえると作者の立ち位置が変わってくるとの解説がありました。
2019年6月の俳句
お題「コンビニの傘」
梅雨寒しコンビニは麻酔の匂ひ
つゆさむし こんびには ますいのにおい
コンビニは手術室のような白い光に包まれ麻酔のようなにおいがするという、東国原さんの発想の句です。
お題「梅雨の花屋さん」
花やぎを増して花屋の梅雨入りかな
はなやぎをまして はなやの つゆいりかな
添削後:
花やぎを殊に花屋の梅雨入りかな
梅雨に入るとどこもかしこも街の中は暗くなりがち。唯一明るい花屋さんに目を付けた視点は夏井先生に称賛されました。
2019年4月の俳句
お題「コーヒー」
缶コーヒー啓蟄のつちくれに置く
かんこーひー けいちつのつちくれにおく
堂々の春光戦、2位の句。光景、場面、動作が全部浮かんでくると夏井先生が絶賛しました。
野原で、仕事の手を休めてホッとしながら缶コーヒーを飲んでいる様子が目に浮かびます。
2019年4月以前の俳句から
お題「俳都・松山」
鰯雲 仰臥の子規の 無重力
いわしぐも ぎょうがのしきの むじゅうりょく
2018年の俳句甲子園の優勝校との3本勝負で詠まれたこの句は、審査員も大絶賛!高校生たちの会場がどよめくほどの衝撃でした。
2018年9月月間MVH受賞句でかつ2018年度年間最優秀俳句となりました。2019年の俳句甲子園の句でも東国原さんは子規を詠んでいます。
お題「満開の桜」
野良犬の吠える沼尻 花筏
のらいぬの ほえるぬまじり はないかだ
第1回春のタイトル戦「俳桜戦」で優勝を飾った句。
季語は「花筏(はないかだ)」。桜吹雪が水面に固まってまるで花の筏のようになっている様子です。
ただしこの句の水面は沼の端。花筏の水面の下は濁って見えません。そこに吠えかける野良犬。
花筏の下に何があるのか、不穏な空気と緊張感が漂う句になっています。
東国原さんの詠むこの空気感。2時間サスペンスドラマが17音で表現されているかのよう。
この句は、2017年4月月間MVH受賞句にも選ばれています。
続いて、プレバト歴代ベスト50の句に選ばれた、東国原さんの俳句で、当サイトに2020年6月25日現在、未掲載だった句をご紹介します。
お題「紅葉」
プレバト歴代優秀句30作
紅葉燃ゆ 石見銀山 処刑場
もみじもゆ いわみぎんざん しょけいじょう
2017年の第1回秋のタイトル戦金秋戦で優勝を飾った句です。
世界遺産の石見銀山に、実は処刑場があったなんて、赤い紅葉と銀山の暗いイメージが管理人の記憶にも鮮烈に残っています。
お題「春の動物園」
プレバト歴代優秀句30作
春深し 象舎の壁の 罅長く
はるふかし ぞうしゃのかべの ひぎながく
名人7段に昇格を決めた句です。
夏井先生には「季語選びのセンス」が高く評価されていました。
お題「結露」
プレバト歴代秀逸句15作
凍蠅よ生産性の我にあるや
いてばえよ せいさんせいの われにあるや
東国原さんの時事俳句。
社会を切り取り、俳句の中で記憶に残るものにしてくれます。(少なくとも管理人の場合はそうです。)
この句は、「LGBTに生産性はない」という社会に波紋を引き起こした国会議員の言葉が納得できなかった東国原さんが、結露の窓に止まった寒さで動けない蠅に発想を飛ばして詠んだ句。
見事、秋、冬のタイトル戦を連覇した東国原さんでした。
お題「桜と富士山」
プレバト歴代ベスト1 天の句
花震ふ 富士山 火山性微動
はなふるう ふじさん かざんせいびどう
東国原さんが春のタイトル戦で優勝を決めた、とても印象に残るこの句が、プレバト8年の歴代1719句の中で、ベスト1となる「天の句」に選ばれました。
東国原さんは以下のように説明します。
富士山は霊山で活火山。浅間神社に祭られているのは木花佐久夜比古毘売命。佐久夜が桜になった、桜が住民たちをも守っている、もうすぐ富士山が爆発するかも、いつ爆発してもおかしくないよと火山性微動で教えてくれている、と詠んだ句。
これはとにかく意外性がこういう形で出ることに驚く。
花震ふで桜のアップの光景、風に震えているとおもうが、富士山がでてきてベタな俳句だと思わせておいて、火山性微動で揺れているのかもしれない、写真には現れない小さな動きや皮膚の揺れる感じを添えてくる、うまいもんだと夏井先生。
素晴らしい句、だと夏井先生。
何年たっても読者の記憶に残る東国原さんの俳句は、管理人にとっては、「あの俳句の頃はああだった」という、自分の時間間隔のしおりになっています。
東国原英夫さんの俳句のまとめ
お気に入りの句の「いいね!」をクリックしてくださいね。
このサイトを東国原さんが観てくださると嬉しいな!と思います。
2019年4月までの句を中心に掲載しましたが、この句も載せてというご希望があれば、どうぞコメントでお寄せください。
できる限り掲載していきたいと思います。
よろしくお願いします。
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