俳句って学校の授業で五・七・五で言葉を並べて作ったこと、ありますよね。
この3年、私が欠かさず観ているテレビ番組、毎週木曜日19:00からの「プレバト!!」でもっとも人気の高い「俳句の才能査定ランキング」。
梅沢富美男さん、東国原英夫さんをはじめとする芸能人の方々が兼題写真をもとに俳句を詠み、俳人の夏井いつき先生が査定するという、俳句のコーナーです。
言葉を吟味しつくし、限られた17音でいかに読み手に伝えるかという俳句。
限られた文字数でいかにサーチエンジンに認識、検索結果の上位に表示させ、読者に読んでもらうかというブログタイトル。
この2つに共通点を感じたことから、以前、この記事を書きました。
この番組「プレバト!!」では年に4回のタイトル戦があります。7月25日には夏のタイトル戦、『炎帝戦』が放送されました。
そして今回も、このプレバトから新たな気づきがありました!
俳人の視点からブロガーの視点が学べるという気づきです。プレバト愛を使って今日も掘り下げます。
木曜日だ!プレバトの日だ!と喜ぶ私。
木曜日だ!燃せるごみの日だ!と生活感のある夫。
はじめにプレバトの簡単な紹介から
プレバトには、俳句、生け花、盛り付け、水彩画、消しゴムハンコ、などさまざまなジャンルがありますが、中でも特に人気の高い、「俳句の才能査定ランキング」。
ふだんの番組では、季節感のあるお題と兼題写真が与えられ、ゲストの芸能人たちが俳句を詠みます。
その俳句を夏井先生が、「才能アリ」「凡人」「才能ナシ」に査定、順位付けしたうえで、舌鋒鋭く添削していきます。登場する芸能人のみなさんはたいてい、このような夏井先生の本で勉強してきます。
「才能アリ」をコンスタントにとれるようになると、特待生に昇格!
特待生は5級から1級まで、その上に、名人が初段から10段まで!さらに最近では永世名人という地位もできてそれを目指して超ハイレベルな俳句が詠まれています。
俳句を知らない人が見ても、わかりやすく楽しめる、子どもからお年寄りまで幅広いファンの多い番組です。
プレバトのタイトル戦とは
年に4回行われるタイトル戦。それぞれ季節に応じた以下のような名前がついています。
春:春光戦(しゅんこうせん)(2018年まで俳桜戦)
夏:炎帝戦(えんていせん)
秋:金秋戦(きんしゅうせん)
冬:冬麗戦(とうれいせん)
特待生の予選を勝ち抜いた数名だけが、名人との本戦に進めます。
タイトル戦の兼題写真は、ふだんの季節感あるものよりずっと情報量の少ない、難しい写真が与えられます。
2019年夏の炎帝戦のお題
2019年7月25日のプレバト夏の炎帝戦では、この写真のように「水滴が落ちて波紋が広がっていく」無機質な写真が兼題写真。
情報量が圧倒的に少なく難しいお題での戦いの結果は、第1位から第5位までを名人が占める、ハイレベルな対戦となりました。
さて、ここからが本題です。
名人5人の句からブロガーが学べる、5つのポイント
炎帝戦1位から5位の俳句を鑑賞しながら、名人5人の句からブロガーが学べる点を考えていきます。
俳句では、兼題写真から「発想を飛ばす」「映像化する」「経験を詠む」などいろいろな詠み方ができます。
今回の兼題写真、波紋が広がっていく写真からも、いろいろな発想で句が詠まれました。
炎帝戦第5位、名人4段の横尾さんの句から順番に学んでいきましょう。
ひとことで伝わる情報量の多さ
炎帝戦第5位 Kis-My-Ft2横尾渉さん
父語る 敬遠五つ 夏の雲
添削後:敬遠五つ 父にあの日の 雲の峰
「敬遠五つ」という言葉だけで実にたくさんのことが語れているというこの俳句。
この俳句では、たった4文字の「敬遠五つ」によって「野球」「強打者」「苦い思い出」だったろう、悔しかっただろうということが表現できていると夏井先生が評価しました。
ひとことで伝わる情報量が多い、これはブログではタイトルに使える技だと思います。
合わせる季語も「雲の峰」とすることでより厳しさが表現できるといい、言葉ひとつひとつの選び方が大事だとわかります。
このあとの第4位から第1位はいずれも名人10段!が占めました。
個性あふれるプレバトの俳句四天王といっても良い方々です。
作者の立ち位置によって表現が変わる
炎帝戦第4位 東国原英夫さん
飛び込みの 波紋広がりゆく 木陰
添削後:飛び込みの 波紋広がりくる 木陰
飛び込みによってできた波紋がゆっくりとプールの光の中を伝わっていくことで、広さ、空間が表現されています。
最後を「木陰」とすることで、緑いろの光まで感じさせる句とのこと。
夏井先生は添削で、作者の位置によって 「ゆく」と「くる」が変わってくると解説しました。
作者の東国原さんも、「くる」のイメージで作っていたそうで、どちらの語を使うか迷ったのだそうです。
どこからみているのか視点をはっきりさせることで、脳内に生まれる映像も変わってきます。
自分の立ち位置をはっきりさせて書くということは、ブログの表現でも大事な点になりそう。
助詞1文字で異なる光景を作り出す
炎帝戦第3位 FUJIWARA 藤本敏史さん
プール開き前のプールに 水馬(あめんぼ)
添削後:プール開き前のプールを 水馬
学校のプール開き前の掃除前のプールに、アメンボが浮かんでいる。小学校の時に見た光景が目の前に浮かびます。
藤原さんの句の「に」を「を」にすることで、アメンボがたくさんいて、ブールの上で動いているイメージを作ることができると夏井先生。
たった1文字の助詞だけで、脳内に異なる光景を作り出すことができるとわかります。
圧倒的な語彙力が産む格調の高さ
炎帝戦第2位 梅沢富美男さん
鯉やはらか 喜雨(きう)に水輪の 十重二十重(とえはたえ)
添削なし
鯉がゆったりと身をくねらせて泳ぐさまを「やはらか」と表現した、梅沢さん。静かで豊かな作品だと夏井先生も絶賛!直しなしでした。
言葉の選び方が優美です。喜雨というのは日照りの頃にふる恵みの雨。
格調のある言葉をさらっと並べながら、映像を描いていくのはまさに王者の実力だと感じました。
ブロガーは、ブログでは難しい言葉はあえて使わないようにしています。
しかし、それも語彙力があればこそ、易しい言葉で読み手にいかに思い通りの映像を伝えるかがかないます。
梅沢さんの句から語彙力の持つ力を学ぶことができます。
小さな発見から大きな世界を広げる
炎帝戦第1位 優勝 フルーツポンチ 村上健志さん
行間に 次頁(じぺーじ)の影 夕立晴(ゆだちばれ)
添削なし
村上さん曰く「小さなことを発見するということは、大きな世界を広げるということ」だという一句。
御大(おんたい)と呼ばれる第一人者、梅沢富美男さんも「この中七、たまらない。よく詠めたな!」と絶賛します。
夏井先生も「これはやられた!」と称賛。
「次頁の影」 という表現は一瞬なんだろうと思いましたが、小説を読んでいる自分を想像すると、その映像が浮かび上がってきました。
初めの「行間」という言葉には2つの意味があります。
「行間を読む」という意味で抽象的な行間だと思わせておいて、中七で実はありありとした映像を詠んでいたとわかる。
そして「行間」という言葉が化学変化をおこして映像の言葉になってくる、という、短い言葉の中にいくつもの展開が隠されている句です。
さらにその「行間」の映像化の原因が季語「夕立晴」によって生まれている、季語の力の使い方が素晴らしい句と夏井先生。
たった10文字、17音で表された世界です。
「電車に乗っている時、小説に没頭していると、ふと次のページの影が行間にさしてきたのに気づきます。
目を上げるとさっきまで降っていた夕立がやみ、いつの間にか明るい陽射しが顔をのぞかせている、
行間に射してきた影によって夕立後の明るさに気づく。」
車窓の向こうに虹が見えてきそうな作品だと思います。
夏井先生は、村上さんは「半径1メートルの俳句を作る人」だと思っていたら、「眼球30cmで俳句が作れる人」だったと絶賛していました。
村上さんのこの小さなことに気づく視点、そう、これです!ブロガーに必要なもの
この視点があれば、ふだんみているモノから価値のあるものを見い出すことができそうです。
漫然と送る生活から、アンテナを開いた生活へ
俳人は日常の生活や自分の体験の中から、俳句の題材を見つけ出し、五・七・五の音数の中で季語を詠み込み、俳句を作り上げます。
ブロガーは、己の専門分野から記事を書く人もいれば、日常生活の中からネタを見つけ記事を書く人もいます。
この後者の、「日常の生活の中からネタを見つける」という視点こそ、俳人の視点と通じるものがあると、今日の炎帝戦で学びました。
ブログを始めてから、日々の生活の中でいつもアンテナを広げ、小さな『人の役に立つ情報』を探しながら、気を付けて生活するようになりました。
漠然と生活するのではなく、「何か人の役立つことはないかな?」と、いつも触手を伸ばしている状態!
目を開いて生きているといえる状態に変わりました。
夏井先生が、家から出ることができない人でも、楽しんで俳句を詠めるように
五感を活用しながら、想像力を膨らませること。家の中にだって俳句のタネはたくさんある! ということを実証する
(内容紹介より引用)
ために書いた本があります。こういった目線をブロガーも持つことで、きっとブログのネタが見つけられると感じました。
名人の俳句に学ぶ、ブロガーが参考にできる5つのポイントまとめ
名人5人が占める1位から5位の俳句に以下のポイントを学んできました。
ひとことで伝わる情報量の多さ
作者の立ち位置によって表現が変わる
助詞1文字で異なる光景を作り出す
圧倒的な語彙力が産む格調の高さ
小さな発見から大きな世界を広げる
ブログを書くとき、タイトル、見出しをつける時、このポイントを活かしていきたいと思っています。
ではでは、また。
プレバトを知っていますか?毎週木曜日の夜7時から放送されている毎日放送制作のバラエティ番組です。芸能人が俳句を詠み舌鋒鋭く俳人の夏井いつき先生が査定する人気コーナー、そのほか水彩画、消しゴムハンコ、生け花などの査定もあります。大人の趣味の時間を演出する俳句17文字の世界。たった17音で語られる世界の奥深さに共感します。