夏の俳句タイトル戦「炎帝戦」2020が始まりました。
今回から予選会はABCDの4つ。
各ブロックの1位通過者と全ブロックの2位の中でもっとも良い句を詠んだ1名の、計5名が決勝に進出できる新ルールです。
2020年7月23日現在、以下の表のように永世名人1名、名人8名、特待生17名は合計26名。そのうち21人の実力者が競います。
ブロックが4つになって予選参加者が増えるのは嬉しいですね。
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炎帝戦の決勝進出を決めているのは?
春のタイトル戦春光戦では4名が決勝へのシード権を獲得しています。
さらに、永世名人になられた梅沢さんが予選免除に!
この5名は決勝進出が決まっています。
■春光戦の上位4名はシード権獲得!
1位 東国原英夫さん
2位 FUJIWARA 藤本敏史さん
3位 中田喜子さん
4位 岩永徹也さん
■永世名人は栄誉を称え予選免除に!
永世名人 梅沢富美男さん
予選A・Bブロックの観覧ゲストには、永世名人の梅沢さんと10段のFUJIWARA藤本さんのお二方が、戦いの行方の見届け人として参加します。
夏のタイトル戦予選のお題
名人特待生の発想力が試されるお題。炎戦予選A・Bブロックへの夏井先生からのお題は「封筒」
封筒にハサミを入れている瞬間の写真。誰から届いたのか、発想を広げられる1枚です。
炎帝戦予選Aブロックの出場者は?
予選Aブロックで決勝進出確定の1位を競うみなさんは、この4名の方々です。
まず名人からはこちらの2名
名人4段 Kis-My-Ft2 横尾渉さん
冬のタイトル戦冬麗戦を制している横尾さん。
名人初段 千原ジュニアさん
7回中6回も予選から決勝進出しているジュニアさん。
次に特待生からはこちらの2名
特待生3級 パックンさん
ハーバード大卒。ずっと絶好調のパックンさん。
特待生5級 馬場典子さん
最高傑作で挑んだという馬場さん。
見どころは、横尾さんが順当に決勝進出を決めるのか?それともジュニアさんや絶好調のパックンさんがそれを止めるのか?
炎帝戦予選Bブロックの出場者
予選Bブロックで決勝進出確定の1位を競う出場者は、この4名の方々です。
まず名人からは昨年の炎帝戦を制したこの方
名人10段 フルポン 村上健志さん
昨年の炎帝戦タイトル保持者、村上さん。
次に特待生からはこちらの3名
特待生1級 松岡充さん
村上さんにだけは負けたくないという松岡さん。
特待生3級 皆藤愛子さん
歴代俳句のベスト5で涙を流して喜んだ皆藤さん。
特待生4級 A.B.C-Z 河合郁人さん
初めてのタイトル戦に挑戦の河合さん。
見どころは、シード権を失って荒れている村上さんと、打倒村上さんに闘志を燃やす松岡さんの熱い戦いです。
放送での発表順に順位と俳句の発表です
決勝でも浜田さんの発表順に、順位と俳句をみていきましょう。
夕虹の補欠合格ミートパイ
パックンさん
夕虹の 補欠合格 ミートパイ
ゆうにじの ほけつごうかく みーとぱい
添削後:
夕虹の 補欠合格 パイ焼く香
夏の夜アルバイトを終えて家に帰ると、ハーバード大の補欠合格の知らせが届いていた。母がお祝いで作ってくれたミートパイほど美味しいものはないという実体験の句。
梅沢さんは「ミートパイ」が強すぎて季語が死んでしまうと指摘。
夏井先生の指摘もまさにそこでした。
季語を含んだ12音はとても良い。夕立が降り終わったあとの夕虹をしみじみと見ながら補欠合格が来たという句は良い。
パイの実態は見せず香りくらいにするとよい、と添削されました。
ミートパイが主役の封筒より目立たないように、香りにしていれば1位だったかもしれないと夏井先生。
ささらめく洗い茶巾や軽井沢
馬場典子さん
ささらめく 洗い茶巾や 軽井沢
ささらめく あらいちゃきんや かるいざわ
添削後:
ささらめく 洗い茶巾や 朝清し
お月謝袋でお茶の稽古を詠んだ。夏のお点前で洗い茶巾というお点前がある。どこにいても軽井沢の避暑地のような気持になる、という馬場さん。
夏井先生は、上五中七が良い。「ささらめく」という言葉をよく見つけた。「洗い茶巾」は夏点前の傍題として入れている。
軽井沢みたいだとなぜ思ったかを入れたらいい、夏手前は朝6時ころからやるので、そこを書けばよかったと解説。
「清し」といれるとささらめくにつながる。「庭」「朝」などにするとよいと添削されました。
夕虹やデビュー知らせし茶封筒
横尾渉さん
夕虹や デビュー知らせし 茶封筒
ゆうにじや でびゅーしらせし ちゃぶうとう
添削なし
Kis-My-Ft2がデビューを発表した時のことを詠んだ。ライブ中にステージ上で、ジャニーさんからの茶封筒が届きそれをあけると「CDデビュー決定」との通知だったという句。
ファンはその日を「茶封筒の日」と呼ぶ人もいる、虹で七色、キスマイも7人なので例えたと横尾さん。
その状況を知らないまま読んだ時の効果としては、非常に事務的な茶封筒にリアリティを感じる、と夏井先生。
「知らせし」が過去の意味でいいのか?という点だけが気になったが、過去のことを思い出す封筒だということだとわかった、それならそのままでよい、思いが凝縮された句だからあえて直さないと夏井先生。
亡き猫に病院からの夏見舞
千原ジュニアさん
亡き猫に 病院からの 夏見舞
なきねこに びょういんからの なつみまい
添削なし
若い時に猫を飼っていて、残念ながらその猫が無くなったあと、病院はそれを知らないために猫の宛名で夏見舞いが届いた時の、それを見たときのなんともいえない気持ちを詠んだ、とジュニアさん。
梅沢さんも大絶賛。動物を愛することができる「優しいジュニア」デビューだと藤本さん。
亡くなったペットに何か届くという発想の句はないわけではないと夏井先生。
ただ「病院からの」という中七から、猫・飼い主・病院の先生、スタッフとの交流が見えてくる。助詞の選び方も良い。
最後に「夏見舞」という季語がでてきた瞬間に「お元気ですか?」という文面、涼やかな絵柄、色合いがでてくる。涼やかさをもって亡き猫を飼い主が偲んでいるというのが出てくる。
これはそつがない!と絶賛でした。
炎帝戦予選Bブロックの結果は?
Bブロックは激戦!と夏井先生。
縁側の寛ぐ父や初鰹
A.B.C-Z 河合郁人さん
縁側の 寛ぐ父や 初鰹
えんがわの くつろぐちちや はつがつお
添削後:
縁側の父よ 初鰹の頃か
日曜日に実家から手紙が来て、今ごろ母親は家事をやり父親は昼間から飲みながら寛いでいるんだろうなという句。
手紙が見えないと藤本さん。縁側で寛ぐのは当たり前だ、「寛ぐ」は無駄な言葉と梅沢さん。
お父さんのいらっしゃるふるさとは海辺の街かしらと思える、季語「初鰹」の選択は悪くない、と夏井先生。
「父や」より柔らかく「父よ」くらいの方がよい。「頃か」としてふるさとを思い出しているという句に添削されました。
夏暁や封蝋も今固まりぬ
松岡充さん
夏暁や 封蝋も今 固まりぬ
なつあけや ふうろうもいま かたまりぬ
添削後:
夏暁や 封蝋のいま 固まりぬ
夜通しかけて大切な人に、お手紙を書き、やっとかけて封蝋を固まるころ夜が明けてきたという句。
「封蝋も」の「も」を「の」に変えればよいと梅沢さんが指摘。
これもいい句ですよ、と夏井先生。
「夏暁や」と強調したあとに封蝋が出てくると知的、静かな書斎、インクの匂い、手紙を書き終えた静けさが出てくる。
時間経過を含んだ季語のあとに、「今」「ぬ」と時間経過を添えてくるあたりお上手になられたと夏井先生。
「も」の一音が言い過ぎている、「の」にして今をひらがなにすると、完璧だったと夏井先生。
検診結果封切る刃先日の盛り
皆藤愛子さん
検診結果 封切る刃先 日の盛り
けんしんけっか ふうきるはさき ひのさかり
添削なし
1年に1度の人間ドックの結果が送られてきて、封切るときの緊張感を詠んだ、と皆藤さん。
検診結果の封を切るという発想の句がないわけではないが、「刃先」を持ってきたのはとても良い、と夏井先生。
「日の盛り」という季語との「刃先」のクローズアップとの取り合わせで緊張感が表現できる。暑さと硬質な刃先の光の取り合わせのメカニズムがわかっていて作っているとはっきりわかると大絶賛でした。
二枚目はベランダで読む手紙かな
フルポン 村上健志さん
二枚目は ベランダで読む 手紙かな
にまいめは べらんでよむ てがみかな
添削なし
みなさんは場所を変えて読みたくなるなぁという手紙をもらったことはありますか?と村上さん。
恋文、家族、友達からかもしれないが1枚読み終わって2枚目に手紙に合ったふさわしい場所で、自分を整えて読みたくなるという句。
季語は「ベランダ」夏の季語。
梅沢さんは「こういう句は好きじゃない」と断言。
「めちゃくちゃ腹が立つ」と藤本さん。
「押し寄せるナルシズム」とジュニアさん。
村上さんの世界を、村上さんが思うように気持ちよくお読みになったんだなと、よくわかったという夏井先生。
「は」がうまい。褒めるしかない。二枚目だけは場所を変えて、風にあたりながらしみじみと読むのかもしれない。言っていないけれど季語と二枚目はだけで伝えようとしている。「かな」の詠嘆の切れ字も嫌味なく手紙を見せてくれる。さすがでした、と夏井先生。
炎帝戦予選A・Bブロックのまとめ
炎帝戦決勝進出の2枠を射止めたのは千原ジュニアさん、村上健志さんでした。
補欠であと1枠を争うのは、横尾渉さんと皆藤愛子さんでした。
決勝進出
A1位 千原ジュニアさん
B1位 村上健志さん
補欠
A2位 横尾渉さん
B2位 皆藤愛子さん
予選C,Dブロックも決勝もとても楽しみですね!
来年の中学3年生の国語の教科書にプレバト俳句から、
藤本さんと村上さんの句が掲載されるそうです。そちらもおめでとうございます。
今回も、最後までご覧いただきどうもありがとうございました。