落語家の春風亭昇吉さんは昇太さんのお弟子さん。東大経済学部卒業で元メンサの会員という経歴をお持ちのすごい方です。
プレバト俳句に彗星のように登場し、出演2回で特待生に昇格してしまった昇吉さんは、自らを落語家の志らくさんと、東大の鈴木光さんと、IQ148の岩永さんの全部の属性をあわせもつという自信家ですが、言葉通りにすごい方です。
春風亭昇吉さんの初登場からのプレバト俳句を、鑑賞して応援しましょう!
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春風亭昇吉さんの俳句一覧
三月の空に託せるものがない
予選Aブロック 1位
お題「卒業」
三月の 空に託せるものがない
さんがつの そらにたくせるものがない
添削なし
人生って卒業の連続。3月の空って水色が落ち着いた色できれいなんだけど、高校生の時に未来を託せるものが掴めなかった。
その様子をうたったと、昇吉さん。
見た瞬間に見事だ、と思ったと夏井先生。
誰もが希望に満ちた卒業を迎えられるわけではない。
口語の語りが、「私もそうだ」と思う人への逆の意味でのエールになるかもと、夏井先生に久しぶりに感動した!を言わしめた句でした。
露の世のいつぽん長きうどんかな
お題「セルフのうどん店」
露の世のいっぽん長きうどんかな
つゆのよのいっぽんながきうどんかな
添削なし
露のように儚いこの世という意味の季語「露の世」。
どんぶりの中に1本だけ入っていた長いうどん。
その映像でいろんな人生があることや、うどんの白さ、瑞々しさを表現しようとしたという昇吉さん。
夏井先生は読み手に自分の思いを投げかけている、ということが「かな」という表現でできていると大絶賛。
見事1ランク昇格となりました。
白秋の雲穿ぐ 右投げ左打ち
金秋戦決勝第3位
お題「大谷翔平」
白秋の雲穿ぐ 右投げ左打ち
はくしゅうのくもうぐ みぎなげひだりうち
添削後:
白秋の雲裂く右投げ左打ち
白秋の雲撃つ右投げ左打ち
「穿ぐ」とは穴が開くことという意味。
大谷翔平選手の右投げ左打ちの活躍で、「白秋の雲」というのは今の世のことを表現。
空気に風穴を開けるようなスカッとしたプレー。それを「穿ぐ」という言葉に込めた昇吉さん。
夏井先生はいかにも爽快と評価しながらも、ホームランのイメージを別の言葉で表現する句に添削されました。
錦秋のショーウィンドーに映る黙
金秋戦予選Aブロック第2位
お題「ファッションの秋」
錦秋のショーウィンドーに映る黙
きんしゅうのしょーうぃんどーにうつるもだ
添削なし
錦の織物「錦秋」のように美しい秋の光景を、煌びやかな秋のファッションが飾られるショーウィンドーを夜に見ると、ガラスに自分が映っている。
社会情勢の暗さとの対比を詠んだと昇吉さん。
夏井先生は難しいことに挑戦してやり抜いていると高く評価。
見事、タイトル戦決勝へと進出を決めた句です。
春雷すストレッチャーを急かす駅
春光戦戦予選Dブロック第2位
お題「階段orエスカレーター」
春雷すストレッチャーを急かす駅
しゅんらいす すとれっちゃーをせかすえき
添削後:
春雷や ストレッチャーを急かす駅
「春雷」が季語。物々しい場面を春雷という季語に託して詠んだ昇吉さん。
雷の音やストレッチャーの音を対比、また「S」の音を多く用いていると語ります。
夏井先生は、とても丁寧に考えた句と評価。
負けても勝っても 母秋刀魚焼く
金秋戦Aブロック4位
お題「スポーツの秋」
負けても勝っても 母秋刀魚焼く
まけてもかっても ははさんまやく
添削後:
試合如何に 子の好物の秋刀魚焼く
お母さんが秋刀魚を焼いているキッチンの後ろ姿を詠んだ句で、思春期の息子さんが試合や就活など、勝っても負けてもお母さんは好物の秋刀魚を焼いて待っているという句なのだそうです。
夏井先生は、お母さんは勝っても負けても淡々と日々の生活の秋刀魚を焼いているとも読めると解説。負けても勝ってもが、子供のことだとわかるように「好物」という言葉を入れて添削されました。
「好物」のというがとても良い、と昇吉さん。夏井先生の添削に喜んでいました。
雛あられ 姪にひと粒ごとのおと
春光戦予選
Cブロック第5位
お題「チョコレート」
雛あられ 姪にひと粒ごとの おと
ひなあられ めいに ひとつぶごとのおと
添削後:
雛あられかじる ひと粒ごとのおと
「雛あられ」が季語。白、ピンク、薄い緑色などの春らしい色。
4歳の姪っ子がいてひと粒ごとの咀嚼音に子どもの成長を感じる。音が聞こえることで距離感と愛しさを表現した、という昇吉さん。
言っている内容は正しい、と夏井先生。
兼題の2つのチョコレートから、雛あられという違う素材に発想を飛ばすのは、兼題写真をどう踏まえるかが大事なポイントになってくるとのこと。
ひな祭りは伝統的な意味では女の子のお祭りなので、「姪」という必要はない。
散文的な「に」と「おと」が音だとわかるように補強する添削をされました。
かじっているのは可愛い女の子に違いないわとわかると夏井先生の説明でした。
盤上に希望の病 六連星
お題「オセロ」
盤上に 希望の病 六連星
ばんじょうに きぼうのやまい むつらぼし
添削後:
「希望の病」あり 盤上に六連星
希望の病は射幸心の虜になってしまうことを表す造語。 勝負事で慢心したり油断が命取りになる、「オレ勝てるんじゃないか」と思っちゃう。季語とオセロの本質を取り合わせてみたという句。
季語は六連星「むつらぼし」昴の別名です。
兼題写真を見ているからオセロと想像できなくはないが、読んだ人にわからない。造語として押し出していきたいなら認めないといけない。
「」でくくって私には「希望の病」がありますと言い切るのが大切だそうです。
コロナ禍のハンドジェルにも 深む秋
金秋戦予選Cブロック4位
お題「ポンプのノズル」
コロナ禍のハンドジェルにも 深む秋
ころなかの はんどじぇるにも ふかむあき
添削後:
ハンドジェル揉み込めば 秋深みゆく
コロナ禍で春ころから使っているハンドジェルも年季がはいってきた。ハンドジェルを手に揉み込むときに秋を感じるという句。
夏井先生は、同じ時代を生きている読者を信じて欲しい、と「コロナ」をカットし「揉み込む」という言葉を使って添削しました。
これまでで初めて直された!という昇吉さんでした。
スイカバー 隣に君の いない海
炎帝戦予選Cブロック2位
お題「アイスクリーム売り場」
スイカバー 隣に君の いない海
すいかばー となりにきみの いないうみ
添削なし
瀬戸内海のきれいな海を見に行くのが好き。まわりは夏を謳歌しているのに、自分は恋人のいないくて寂しい気持ちを夏をかたどったスイカバーに託したという句。
これは、スイカバーと具体的に言ったのは良い。青春のアニメの1ページのようで良い。村上2号のような句。
万緑に 提げて遺品の紙袋
お題「紙袋」
万緑に 提げて遺品の紙袋
ばんりょくに さげて いひんのかみぶくろ
添削なし
昇吉さんは、この句を、「映像としてはおっさんが紙袋をもっているだけ。アルバムなどの遺品が入っている。生命観のある「万緑」という季語に託した」と自分で解説。
夏井先生のこの句の査定の結果は、75点という超高得点! 特待生誕生です!
「こいつは特待生になる資格がある、これは良い句だなぁ」と梅沢さん。
夏井先生は、「本当に上手い。俳句の骨法がわかっている人の句」と大絶賛です。
「万緑」という季語で生命力のイメージがあり、「提げて」で人物の存在が出てくる。「遺品」と「万緑」の対比。「生き」「死に」の対比がこの2つの言葉ででてくる。遺品を紙袋に入れているという小さな謎からドラマが動き出す、と先生は解説します。
また、上五で「万緑に」「万緑や」にするか悩んだのでは?と昇吉さんに問いかける先生。「に」にすることで空間の中に存在する、生命エネルギー溢れる万緑の中にポツンといることになる。命のイメージをぐっと押し出すことになると、べた褒めでした。
春風亭昇吉さん、おめでとうございます!
追記:この句は、プレバト歴代50句にも選ばれました。
風信子 数にあまれる 失意あり
20200507
お題「春の花屋さん」
風信子 数にあまれる 失意あり
ひやしんす かずにあまれる しついあり
添削なし
ヒヤシンスの花の数、これくらいでは許してもらえないだろうという、後悔とか懺悔。大人の世界を象徴するという句。
査定の結果は72点で才能アリ!
「数にあまれる」とはある基準の数を超えてさらにあるという意味。ヒヤシンスの花の数を超えるほどの失意を抱えております、という句になるのだそうです。
「風進子」と「失意」という2つの意味の異なるものを中七がつないでいる、と夏井先生はとても高評価でした。
春風亭昇吉さんの過去の全俳句はこちらのプロキオンさんのサイトから!
成績も含めてすべての情報がまとまっています。