今、あなたが本を読む目的・理由とはなんですか?
この記事では、人生のいろいろなステージにおける、読書の目的について紹介しますね。
なぜ読むのかは人それぞれですが、同じ人でも人生の各ステージによって読む理由が変わってきます。
今、自分がどんな目的で読んでいるのかを知り、他にもいろいろな読書の目的があることを知ると、読書の幅が広がるかも知れません。
本の読み聞かせは、愛されているという安心感
寝る前に読んでもらう絵本は、小さな子どもにとって愛されていると感じられ安心感で満たされる愛情の贈り物でしょう。
読む人が楽しんで読めば、本の楽しさも自然に子どもに伝わるようです。
「こんとあき」 林明子/ 著
「こんとあき」は、子どもたちが暗記してしまうほど何度も読んで読んでとせがんだ本です。
絵本専門店に勤めていたお友達が、子どもの出産祝いに贈ってくれた思い出の絵本です。
はじめて自分で読む・見る絵本 知っていることへのわくわく
自分で絵本を眺められる4,5歳になると、床にペタンとお座りをしたり、寝そべったりして思い思いの姿で絵本のページをめくるようになります。
ページをめくるわくわく、知っているページが出てくる安心感。何度も何度も同じ本を見て楽しみます。
「ぐりとぐら」中川 李枝子/作 , 大村 百合子/絵
うん十年前4,5歳のころに見た、美味しそうな大きなカステラが私の最初の絵本の記憶です。憧れの黄色いカステラでした。
動物たちが集まってカステラを食べるシーンでは、自分もそこに加わりたいと絵に見入りました。
なぜかちいさなカメが印象に残っています。森にカメがいるというのを知らなかったんですね。
「ぐりとぐらのおきゃくさま」中川 李枝子/作, 山脇 百合子/絵
絵本は楽しいばかりではなく子どもの心を揺り動かすものです。
なぜかこの絵本を読むのは怖くて怖くて。
自分の家の中に誰かがいる!
その感覚は私にとってはホラーに近いものでした。
まだサンタクロースという存在を知らなかったようです。家に知らないおじいさんがいるのは確かに怖い!
何度読んでもページをめくるのが怖く感じる絵本でした。
「やっぱりおおかみ」佐々木マキ/作・絵
影で表現されたおおかみがひとけのない街を歩き回ります。
悪態をつく存在がまだ身の回りにいない子ども時代、おおかみの「け」というセリフが強烈な印象でした。
ほとんど文字のないこの本の絵は、ポップなのに怖いイメージで子ども心に残る本でした。
ファンタジーの世界で空想を膨らます
ファンタジーというジャンルが存在することに感謝します。
魔法や小人や異世界。自分の住んでいる世界までがキラキラして見えてくる不思議な力を持っています。
今なら、「ハリー・ポッター」シリーズや「指輪物語」もありますが、私が子どものころはシリーズもののファンタジー作品はそれほどなかったのかもしれません
好きなお話はずっと続いてほしいですよね。もっともっと続編が読みたくなる、そんな読書の楽しみを教えていただいた作品がありました。
「だれも知らない小さな国」佐藤さとる/著 , 村上勉/イラスト
絶対どこかにコロボックルがいるに違いないと嬉しくなってくる本。
佐藤さんの文と村上さんのイラストは、コロボックルを子どもたちの心の友だちにしてくれました。
30年経って世代を超えて子どもたちがまた同じ本に夢中になっているのを見ると、私まで嬉しくなってきます。
佐藤さんからコロボックルを受け継いだ、有川浩さんの「だれもが知ってる小さな国」を本屋さんで見つけたときは、小躍りしました。そのうちこの本もブログでご紹介します。
辛いことからの現実逃避
「仲間外れ」にされたり「いじめ」を受けていた小学校高学年のある時期を、学校の図書室と図書室のたくさんの本が救ってくれました。
本を読んでいればその間は独りぼっちではなかったのです。
数年前に鎌倉市図書館の公式Twitterで「学校が始まるのが死ぬほどつらい子は、学校を休んで図書館へいらっしゃい。」とつぶやかれ、全国的に大きな話題になりましたが、本当に図書館や図書室は救いになるところです。
死んでしまいたいほど辛いときには、現実から逃げてもいいんだよ、と子どもたちに知ってほしいです。
「大どろぼうホッツェンプロッツ」 オトフリート=プロイスラー/ 著, トリップ/イラスト , 中村 浩三/訳
大どうろぼうホッツェンプロッツ!なんと面白い名前でしょう。名前だけでも興味津々になります。
少年カスパールくんたちとの知恵比べ、どこか憎めないホッツェンプロッツ。
自分まで一緒にホッツェンプロッツを捕まえようとしているみたいに、わくわくしてくるお話です。
受験・勉強で知識を得る
受験生時代には楽しい読書を削って猛勉強!
無事に進路が決まってまた楽しい読書タイムが戻ってきますように。
必死に勉強するには参考書は大事ですね。今や田舎に住んでいてもネット書店で必要な参考書・問題集が手に入る時代。
口コミで人気の参考書もわかる、ありがたい時代です。
「ヨコから見る世界史 パワーアップ版」斎藤整/著
世界史の先生に転職した知り合いに薦めてもらった参考書です。
受験生ではないですが親の目からも楽しめます。30年前に知っていれば!
研究 調べる方法を身に着ける
大学時代というのは調べる方法を知るためにあるのだ、と聞いたことがあります。確かにそうですよね。
大学4年間で習ったことが社会にでて直接役立ったかといえば、役立ったなぁと実感できたのは、先行研究の調査方法、論文・レポート・レジュメの書き方、参考文献の見つけ方、スケジューリングの仕方、アポの取り方、ネゴシエーション、それから忘れてはいけないワープロ、パソコンの使い方などでしょうか。
ポータルサイトなどが存在しない時代、どうやって調べるかは大事な技術でした。大学図書館で検索したり、ゼミの先生、先輩からの口伝が多かったように思います。
残念ながらこの時期の本はお薦めできる本がすぐに浮かびません。ごめんなさい。思い出したらまた書きます。
ノウハウ本の時代 仕事・家事のハウツー
IT系の会社に入ってプログラミングやリサーチをやっていたのですが、当時使っていたマニュアルは日本語訳が怪しいものばかりでした。
今のように翻訳サイトがあれば!
家事については、料理も、掃除も、片付けもハウツー本のお世話になりました。
「会議革命」斎藤孝/著
斎藤先生の数ある著作の中でも、この本は仕事に即、役立ちます。
会社の無駄な会議をなくし、短時間で確実にアウトプットの出せる会議にするにはどのようにしたらよいのか、明日から役立つノウハウが詰まっています。
会議に悩んでいたらぜひ、目を通してみてください。
「常識以前でございますが―おばあちゃんの家事ノート」町田貞子/著
私がお世話になった家事のハウツー本はみな、すでに絶版になっていました。
町田貞子さんの家事本数冊をマニュアルにしていました。
季節別、家事項目別になった目次から自分がしたい家事を見つけてそのページを開く。
おばあちゃんの知恵を教えてもらった本です。聞きたいときには既に自分のおばあちゃん達は天国にいってしまっていたので。
人生とは?哲学的な探求、人生が変わる転機になる読書
人生のある時期に、何のために生きているのだろう、と思ってしまうことがありますよね。
生きるのが辛い時期かもしれません。
家族の病気や経済的な危機など。人生にはいろんなことがあります。
自分のルーツを知りたくなってしまうことも。
私の場合は、たまたま図書館で手に取ったある本がきっかけで、人間のルーツ→文明のルーツ→オーパーツ→精神世界→スピリチュアル→自己啓発と興味がいろいろと展開していくことになったのですが、きっかけになった最初の1冊がこれでした。
「エイラ 地上の旅人(1) ケーブ・ベアの一族 上」ジーン・アウル/著 , 大久保寛/訳
人間が最初に火を使ったとき、はじめて馬に乗ったとき、そんなことを考えたことがありますか?
文明が産まれた瞬間を見せてくれる、今あるこの生活に心から感謝できるシリーズです。
ネアンデルタール人やクロマニヨン人が住んでいた時代の地球にタイムスリップしてみませんか。
再び現実逃避 大人編
子どもの時だけでなく、大人になってからも日常が辛いときはありますよね。
今度は、受験生がいるご家庭のお父さん、お母さんや、お仕事でいつも気をつかって心がぴりぴりしている、そんな方へのお薦めです。
時代小説はいかがでしょうか。
例えば年配の方はもちろん、若い方でも楽しめる佐伯泰英さんの時代小説。一話ごとに江戸時代にタイムスリップ。読後はすっきり爽快です。
ある研究によると本を読み始めて6分でその世界に入り込み、辛い気持ちから解放されるとのことでした。
寝る前のひと時、気分は八丁堀の親分ですよ!
「橘花の仇―鎌倉河岸捕物控〈1の巻〉」佐伯泰英/著
江戸鎌倉河岸の酒問屋豊島屋に勤める、元武士の娘しほと、むじな長屋の三兄弟こと政次、亮吉、彦四郎の幼馴染が繰り広げる青春時代小説。
金座裏の岡っ引き宗五郎親分や豊島屋の主、清蔵など、取り巻く大人たちもいい人ばかりです。
読んでいるうちに心がすっきり、温かくなること間違いなし。
純粋に、読む楽しみのために人生を捧げる
ここ数年の1年間の日本の書籍の出版件数は75,000件から80,000件くらいです。
さて、そのたくさんの本の中から一体何を読みましょう。
人生の機微を知り尽くした年配の人たちが読む。
お仕事を終えた後の自分の時間に読む。
家事を終えた夜のひと時に読む。など。
自分の好きなジャンルの本と過ごす時間は宝物です。
「誰か」宮部みゆき/著
宮部みゆきは時代小説も絶品ですが、今回は現代小説のミステリー「誰か」をお薦めします。
「名もなき毒」「ペテロの葬列」「希望荘」と続編が出ていますがその第1作目です。
杉村三郎という平々凡々な主人公が、結婚した相手が今多コンツェルンの令嬢だったことから様々な事件に巻き込まれていくこのシリーズ。
普段はミステリーを読まない人でも思わず引き込まれます。
単行本は重くて持つのが辛いほどの厚さでしたが、文庫本が出ているのでお薦めです。
まとめ
いろいろな読書の目的を紹介してきましたが、すべて私の人生の中での様々なステージで通ってきた読書体験です。
同じ人でも状況により読む目的が変わっていくんだなぁと思いながら、本屋さんや図書館の、いつもは自分が行かないコーナーの書架もぐるっと一周してみると楽しいですよ。
新しいステージに入るきっかけの1冊が見つかるかも。
各ステージでのお薦め本を紹介しました。
あなたが、今、本を読む目的・理由はなんですか。
その読書の時間が良いものとなることを祈っています。
ではでは、また!